老子道徳経
第１７章
「理想の君主のランク付け」by 老子
今でいうなら
組織のリーダーや指導者の
「理想像ランキング」
という感じかな
一番いいのは
「長になっている人がいる」
と、ただ下々の人たちから知られているリーダー
ことさらなことをしないから
みんなの話題にものぼらない
その次は
人びとに親しまれ褒めたたえられるリーダー
その次は
規律を厳しくして人びとに畏れられるリーダー
その次は
人びとに侮られるリーダー
リーダーが下の人たちを信頼しないと
彼らもリーダーを信頼しない
組織の長となる人が
ゆったりとして口出ししなければ
自然と成果が上がり、事業も成し遂げられる
そして
人びとは「自分たちで達成できた！」と
誇らしくいう
人の上に立つ人の理想のあり方は
ことさらなことをしない
「無為自然」
「自分がやった」なんていわない
成果を自分のものにしない
そういうあり方に
「リーダー」や「指導者」という言葉は
そぐわないかもしれない
みんなが楽しそうにくつろいで活動しているのを
ただ、後ろから眺めているような
成果がどうとかよりも
全体のくつろぎを大切にする
みんなの歓びが、自らの悦びになる
ことさらに口出しせず
人にはやりきる力があることを信頼して
ただ、まかせている
そうしたリーダーは存在感がないようで
実は
それなしには組織は回らないようになっている
わたしたちの現実世界は
大いなる源ータオなしにはありえない
でも、ほとんどのとき
わたしたちはその存在に氣づきもしない
あたりまえの毎日を
瞬間ごとに生み出し、保持してくれる力
そして
そのチカラに氣づかないほどに
当然のものとして
タオに守られ
平穏な毎日を過ごしているわたしたちを
タオはただ包容している
人を育て養う
タオに根付いたリーダーは
わたしたちの真価を発揮させる
安心感のもと、自由に活動できるからだ
もし、組織のかしらになったら
人を育てるような立場になったら
心得たいものだと思う
かしらになる人が出っ張らず
自然な立ち位置にあるのなら
その組織はイキイキと歓びにあふれ
潤い、大きく育っていくはずだ
かみゆ りら
大上（たいじょう）は下（しも）これ有るを知るのみ
其の次は親しみてこれを誉（ほ）む
其の次はこれを畏（おそ）る
其の次はこれを侮（あなど）る
信足らざれば、焉(すなわ)ち信ぜられざること有り
悠として其れ言を貴（おも）くすれば
功は成り事は遂げられて
百姓（ひゃくせい）は皆我れは自然なりと謂わん
（老子 金谷治著 講談社 書き下し文より引用）
