老子道徳経
第13章
人に誉められるか、けなされるか
みんなそれを氣にしすぎて不安でたまらない
名誉とか財産のことばかり氣にかけて
名誉や財産=自分だと思い込んでる
褒められるか、けなされるか
評価されるか、侮蔑されるか
そんなことばかり
氣にしているのはどういうことだろう
認められること
愛されることだけが良いことで
屈辱を受けることは悪いことと決めつけて
うまくいくかどうか不安でびくびくしている
だめになるかも
失うかもしれない、と心配でたまらない
名誉や財産を重んじすぎて、心配ばかりして
それを自分自身だととらえているのは
どういうことだろう?
わたしたちが思い煩うのは、カラダがあるから
カラダがなければ、心配できない
まずは自分の身をいたわり愛してみよう
そうしたら
自ずと周囲は味方してくれるようになる

10年以上前に出版された
アドラー心理学の「嫌われる勇気」という本は
500万部を超えるベストセラーになっている
わたしたちは
「嫌われる」のが何より怖い
自己を否定されるのがほんとうに怖い
認められたい
だから
外側に承認を求め続ける
承認を求めるのはなぜ?
周囲の評価が氣になりすぎているのはなぜ?
自分で自分を認められない
自分には価値がない、と
思い込んでいるからでは?
社会から、外側から得た、「ほまれ」で
わたしたちは武装しようとする
無力な、無価値な自分の穴を埋めようとして
でも、無価値だ、無力だと
決めつけたのはだれだろう?
そうして自分を傷つけ続けるのはだれ?
自分以外に
自分を傷つけることのできるものはいない
そして
自分以上に
自分自身を
愛してくれる存在もいない
自分を大切に扱えば
自分を大きく立派にみせる必要はなくなる
承認されるために
いい人であろうとする必要もない
自分の身を守りたいと願ってるのなら
自分を傷つけつづけるのをやめなきゃね
なにか失敗したって
まあいいじゃないか、
と、いたわってやればいいのに
自分は無能だと責めるかわりに
バカな子ほどかわいい、って
まるごと
自分を受けとめて抱きしめてやれればいいのにね
そしたら「外側のなにか」で自分を守らなきゃ
っていう
そんな考えが
だんだん薄くなっていくはずだよ
かみゆりら

寵辱(ちょうじょく)には驚くが若(ごと)し
大患を貴ぶこと身の若くなればなり
何をか寵辱には驚くが若しと謂う
寵を上と為し、辱を下と為し
これを得るに驚くが若く
これを失うに驚くが若し
是れを寵辱には驚くが若しと謂う
何をか大患を貴ぶこと身の若しと謂う
吾れに大患有る所以(ゆえん)の者は
吾れに身有るが為めなり
吾れに身無きに及びては
吾れに何の患い有らん
故に身を以てするを天下を為(おさ)むるよりも貴べば
若(すなわ)ち天下を托すべく
身を以てするを天下を為(おさ)むるよりも愛すれば
若(すなわ)ち天下を寄すべし
(老子 金谷治著 講談社 書き下し文より引用)