女神たちのタオイズムー老子道徳経

女神たちの老子道徳経-第52章-ほんとうに安心できる生き方

女神たちの老子道徳経

-第52章-

 

宇宙のはじまり

創造のエネルギーは

万物の母だ

その母の存在を感じられるようになると

その子である、この世のこともわかるようになる

そうして、この世のことを把握したうえで

母なるタオのあり方に沿っていけば

あやうい生涯にはならない

 

眼耳鼻口という

感覚器官のよろこびにとらわれなければ

人生に疲れることはない

でも、その快楽につかまれば

一生救われることはない

 

ちいさきもの、微かなものをみる能力が

ほんとうの知性であり

やわらかさを守ることが

ほんとうの強さだ

 

その智慧にしたがって

タオに還っていけば

禍に見舞われることもないんだ

 

神遊りら 訳

 

 

この世は、創造主のあそび場だ

わたしたちは、タオかあさんの子どもで

創造主であるタオかあさんの質を

そのまま宿した存在だ

 

タオかあさんなしには

わたしたちは生まれることもなかったし

ここまで育ち、成長し

さまざまな体験をすることもできなかった

 

愉しいときも苦しいときも

いつなんどきも

片ときも絶えることなく

タオかあさんから滋養されていたんだって

 

それに氣づくとね

どこに居ても、あまり寂しくなくなった

何があっても、まあ大丈夫だって感じられるようになった

 

あらゆるところに

タオかあさんのエナジーは偏在していて

それがない場所なんてないって

 

でも

そのことを忘れてしまうとね

寂しさを何かで紛らわそうとする

 

手近ななにか

きらびやかな服とか

ジャンクな食べ物とか

安易な人間関係とか

激しい音楽とか

強烈な香りとか

そういうもので

寂しさの空間を埋めようとする

 

でもあるとき氣づくよね

 

どんなに穴に詰め込んでも

けっして満たされることはないことに

 

だからいちど

その穴を塞いでみることだ

そして

空間をつくってみるといい

すると

そこに、そのスペースに

タオかあさんが自然と入ってくる

 

何かでいっぱいになったところには

知識でいっぱいのアタマや

食べ物で膨れたカラダには

タオのエナジーは浸透してこない

 

ときに

わたしたちは

空っぽになることを余儀なくされる

 

それは、この上ない人生の危機にみえる

 

それは

とても怖いことに思えるけど

ほんとうはチャンスなんだよ

 

タオのエナジーのやわらかさ

あたたかさを

全身全霊で味わうチャンスなんだ

 

パンパンに膨れ上がったアタマやカラダに

スペースができて

タオのエナジーに満たされると

今まで見えなかった

感じられなかった

ちいさくて微細なものに氣づくようになる

 

そして

そのちいさきもの、よわよわしいもの

おぼろげで不確かなもの

それらを包み抱き大切にしていく

 

そのやわらかさがほんとうの強さなんだ

 

あそびをせむとやうまれけん

 

神遊りら

 

 

 

天下に始め有り

以て天下の母と為すべし

既に其の母を得て

以て其の子を知る

既に其の子を知り

復(ま)た其の母を守らば

身を没(お)うるまで殆(あや)うからず

 

其の兌(あな)を塞ぎ

其の門を閉ざせば

終身勤(つか)れず

其の兌(あな)を開き

其の事を済(な)せば

終身救われず

 

小を見るを明と曰い

柔を守るを強と曰う

其の光を用いて

其の明に復帰すれば

身の殃(わざわい)を遺す無し

是れを常に襲(よ)ると謂う

(老子 金谷治著 講談社 書き下し文より引用)