老子道徳経
第３０章
道を以て人主（じんしゅ）を佐（たす）くる物は
兵を以て天下に強いず
其の事は還るを好む
師の処（お）る所は
荊棘(けいきょく)焉(ここ)に生じ
大群の後は、必ず凶年あり
善者は果（か）つのみ
以て強いるを取らず
果ちて矜（ほこ）ること勿（な）く
果ちて伐（ほこ）ること勿（な）く
果ちて驕（おご）ること勿（な）く
果ちて巳（や）むを得ずとす
是れを果ちて強いる勿しと謂（い）う
物は壮（さかん）なれば則ち老ゆ
是れを不道と謂う
不道は早く巳（や）む
（老子 金谷治著 講談社 書き下し文より引用）
戦いのとき、武力で強制すれば
必ず悪い結果として報いがあることを
タオの人は知っている
軍隊がとどまるところは
荊（いばら）やトゲのある木が生えてくる
戦争の後は、不作や飢饉がやってくる
タオにしたがう人は
戦いに勝ったのなら
それ以上、強制したりしない
威張ったりすることなく
自慢したりすることなく
傲慢になることなく
ただ、戦いを終わらせる
勝ったとしても
強いることはない
あらゆるものは
強壮であるほど、ムリをして老いやすい
タオの道からそれているからだ
タオから外れたやり方は、長くはつづかない
この世は作用と反作用の世界
強い力で押さえつければ
それよりも強い力で跳ね返ってくる
作用したものは
かならず反作用としてかえってくる
ときに
わたしたちは何かのために
戦いを余儀なくされることもある
敵と対峙して
打ち勝たなくてはいけないときがある
でも、勝負がきまったのなら
その後は
それ以上打ち負かそうとはしない方がいい
国家間の戦争とか
そんな大きなことじゃなくても
身近な生活の中には
それ以上に多くの争いがある
特に
自分の内面において
わたしたちはいつも闘っている
力で征服しようとしない方がいい
他人とも、自分自身とも
やむをえない場合以外は
争うことはやめた方がいい
強い力で押さえつければ
それよりも強い力が跳ね返ってくる
またそれを押さえつけようとして
もっと強い力が必要になる
そんなやり方は本当にくたびれる
タオのあり方から外れてるからね
いいかげん、もうやめようか
かみゆりら
